肌と口腔粘膜との違い
私の矯正歯科臨床は口の中はもちろんですが顔をよく診ます。自分でも基礎化粧品を開発していて面白いと思うことの一つに角質層のほとんどない口腔粘膜と角質層がある顔の皮膚のバリア機構の違いです。
皮膚には角質層がある
皮膚・粘膜は表面から順に①表皮②真皮③皮下組織の3つに大きく分けられています。
角質層は①の表皮の一番表面にある死んだ表皮細胞が保湿成分を蓄え周りを満たしながら重なって存在しています。ご存知のように角質層には天然保湿成分(NMF)、ラメラ構造をなす細胞間脂質、皮脂が存在し乾燥から守っています。
角質層の下には角化しきっていない表皮細胞があります。角質層直下にある顆粒層と呼ばれる細胞にも保湿バリア機構がありTJ(タイトジャンクション)バリアと呼ばれ、顆粒層細胞同士をつないで角質層にある細胞間脂質が真皮のほうに戻らないようにしたり病原体が入り込みにくいようにしているバリアです。
このTJバリアがあるおかげで口腔内粘膜は角質層がほとんどなくても病原体に対して物理的バリアとして体内への侵入を防いでくれているのです。歯周病の原因菌の一つであるジンジバリスはこのTJバリアを壊す能力があるために次第に歯茎が腫れ、歯槽骨も溶けてきます。
粘膜はターンオーバーが早い
口腔粘膜のバリア機構の特徴のひとつとしてターンオーバーの速さがあります。
肌とは異なり口腔内粘膜は数日で入れ替わるため侵入してきた病原菌ごと細胞を分離していきます。皮膚のターンオーバーが28日であることを考えるとものすごい速度であることがわかります。
口腔粘膜と比べて顔の皮膚はターンオーバーも遅くクレンジングやダブル洗顔など合成界面活性剤や空調のききすぎによる乾燥などさまざまな肌ダメージにさらされています。
そのため角質が壊れてしまってはこれらの乾燥や病原菌の侵入に耐えられません。
粘膜には唾液などの粘液がある
口腔内や腸には唾液や粘液を分泌する腺組織があり、細菌が直接粘膜に接触しにくくしたり細菌による悪い影響を軽減する免疫機能があります[1]。
高齢になってくると口腔内が乾燥するいわゆるドライマウスが増えてくるのですが虫歯菌や歯周病菌が元気になる原因にもなります。
まとめ
顔の皮膚と口腔内粘膜で大きく異なるのが角質層の有無とターンオーバーの速度、粘液の有無。
参考文献
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