増粘安定剤のカラギーナンの副作用とアンチエイジング効果
ゼリーやヨーグルトなどにはよくゲル化剤、安定化剤または増粘剤としてカラギーナンという成分が入っていますがこれはアンチエイジングの観点から良い食べ物なのか検証してみます。
目次
カラギーナンとは
カラギーナンは硫黄(硫化)が豊富な多糖類で海藻に含まれる水溶性食物繊維です。
海藻の中でも特に食物繊維やタンパク質、ミネラルの豊富さや機能性が高い海藻の一種である紅藻から取られています。
紅藻はアサクサノリなど日本では日常よく食べられている食材で、近年はカロリーゼロのファンクショナルフード/スーパーフードとしても注目されています。
もともと海藻はあまり消化されませんが、日本人の腸内細菌は紅藻の水溶性食物繊維をエサとして利用できる細菌が多く、アメリカ人には少ない[3]ためカラギーナンがアンチエイジングに役立つのかを知ることは重要です。
カラギーナンは増粘剤やゲル化剤、安定剤として使われており、硫黄が結合している数と部位で分類されイオタ(ι)、ラムダ(λ)、カッパ(κ)に分類されます。
カッパ(κ)<イオタ(ι)<ラムダ(λ)の順に硫化度が増し生理活性の強さも強くなっていきます[3]。
カラギーナンは大腸に炎症を引き起こす
紅藻には食物繊維など多くの栄養素が含まれておりカラギーナンはその一つです。
カラギーナンはグルテンのように腸上皮細胞間のタイトジャンクションに影響を与えてより分子量の大きい物質を透過しやすくさせます[1]。
また、腸上皮細胞直下にいるマクロファージに炎症のシグナルを送り大腸に炎症を引き起こします[2]。
先ほど述べましたようにカラギーナンはその硫化度に応じて生理活性強度が異なってきます。
硫化度が低いκカラギーナンはマクロファージ活性作用は低く、逆に硫化度の高いλカラギーナンはマクロファージを活性化して炎症を引き起こす作用が強くなります[3]。
カラギーナンのアンチエイジング効果
確かにカラギーナンには大腸炎を引き起こすという重大な副作用がありますが同時に広範なアンチエイジング作用があります
抗炎症、抗酸化作用
抗血栓、抗酸化、抗炎症、抗糖尿病作用など[3]。
抗ウイルス作用
ιカラギーナンは抗ウイルス作用もあり風邪に有効です[3]。
乳がん抑制作用
最も硫化度の高いλカラギーナンは細胞増殖を阻害するため乳がんの薬剤候補で[4]乳がん細胞のアポトーシスを誘導して抗ガン作用を示す[5]。
プレバイオティクスとして
カラギーナンを含む紅藻の水溶性食物繊維は抗酸化作用、抗炎症作用のあるタンパク質や腸内細菌のエサとなる水溶性食物繊維を含み善玉菌のエサになる。その結果短鎖脂肪酸が多くなりクロストリジウムなどの悪玉菌の繁殖を抑えるためプレバイオティクスとして使える[3]。
水溶性食物繊維が善玉菌の餌になることは有名です。
そのためワカメなど紅藻を配合した食品も販売されています。
紅藻の他の有効成分
タンパク質
ノリなど紅藻には微量ながらタンパク質も含まれています。
紅藻中のタンパク質は抗炎症作用を持つサイトカインIL-10の分泌やマクロファージに作用して炎症性サイトカインであるTNF-αやIL-1βを抑制して抗炎症作用を持つ[3]。
IL-10は大腸炎を抑制する[6]ためにカラギーナン単独で食べるのではなく紅藻全体を食べることでカラギーナンの炎症を抑えることができます。
ポルフィラン
紅藻にはカラギーナンだけでなく水溶性食物繊維にはポルフィランという多糖類も含まれています。
ポルフィランも良い面と悪い面があり、抗炎症、抗酸化作用を持つが同時にマクロファージを活性化し炎症を促進する面もある[3]ため紅藻中のタンパク質も摂ってIL-10の分泌を促すことがアンチエイジングになります。
ポルフィランは分解のされ方によってα-1,3結合で加水分解されると抗酸化剤になるがβ-1,4結合で加水分解されると抗酸化能を持たないという特徴を持ちます[3]。
また、ポルフィランには花粉症やアトピー、金属アレルギーなどのIgE抗体を低減させるという抗アレルギー作用があります[3]。
まとめ
- カラギーナンは大腸炎を引き起こすリスクがある
- カラギーナンは紅藻から分離される水溶性食物繊維で抗酸化、抗炎症、抗ガンなどさまざまなアンチエイジングに有効な作用を持っており医薬品への応用が可能
- ゲル化、安定剤、増粘剤として添加物としてヨーグルトやゼリーなどさまざまな食品に添加される
- ノリなど紅藻全体で食べるとIL10やマクロファージによる炎症を抑制するタンパク質も摂取できるためカラギーナンの副作用(大腸炎)を緩和することができる
- 日常生活ではカラギーナン単独ではなくノリなど海藻全体で食事としていただくこと
参考文献:
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